不器用な君と不機嫌な私

今日から、アキが郁を守ってくれる。


血の滲む手首を眺めると


どうしてか安心できた


ごめんね、アキ



望んでもない約束をさせて



「これで、もう平気」


「郁……本当か…?」


「大丈夫、だってアキがいるから。


それにまだ、キョンも約束破ったって決まったわけじゃないもん。」




無駄な足掻きだって


わかってるよ



だからなにも言わないで



なにも言わずに、隣にいてよ



「アキ、寒い。」



そう言うとアキはまた抱き締めてくれる


白いシャツに、郁の血の跡を残した。


かおりんには


キョンがいるじゃない。



だから、もうごめんねなんて

思わない。


だってかおりんも気づいてないんでしょ


かおりんはキョンと話してるとき


すごく楽しそうなこと。



気付かなきゃいいんだ


教えてなんて、あげない。





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