不器用な君と不機嫌な私
「…お邪魔します…。」
こんなときでさえも、私は
仲本の家の広さに驚いていた。
全体的に暖色系の色合いで
温かな家庭の匂いがした。
この匂いが郁の家にはなかったんだ。
手すりにまで彫刻の入った階段をのぼって
仲本の部屋の中に案内される。
部屋の中は、家具全てが
モノクロに揃えられていた。
「どうしたの?」
「だ、男子の部屋入るの、は、初めてなの…!」
「へえ?
まあいいよ、何もしないし」
「…当たり前じゃん。」
ふかふかのベッドに仲本は腰掛けて、
私はその近くの2人がけのソファーに座った。
「じゃ、…話す?」
「…お願いします。」