不器用な君と不機嫌な私
「藤原さんが、何を知ってるのかがわからないんだけど」
「私?
ほとんど皆無に近い…けど
郁の家のことは聞いた。
あとは、先生が
郁のこと、」
「いいよ言わなくて。
…じゃあ、なんで郁があんなに俺に固執してるかは
知らないんだよね」
「理由があったの?」
「まあ、ないわけじゃないってくらい。
えーっと、」
そう言って仲本はブレザーを脱いだ。
私はもう、そういうタイミングを逃してしまったから
じっと座ることしかできなくて。
「約束したんだ。」
「え…?」