不器用な君と不機嫌な私



「藤原さんが、何を知ってるのかがわからないんだけど」



「私?

ほとんど皆無に近い…けど
郁の家のことは聞いた。


あとは、先生が

郁のこと、」


「いいよ言わなくて。


…じゃあ、なんで郁があんなに俺に固執してるかは

知らないんだよね」


「理由があったの?」


「まあ、ないわけじゃないってくらい。


えーっと、」


そう言って仲本はブレザーを脱いだ。


私はもう、そういうタイミングを逃してしまったから


じっと座ることしかできなくて。


「約束したんだ。」


「え…?」


< 222 / 303 >

この作品をシェア

pagetop