不器用な君と不機嫌な私
「自分でこんなこというのは、
正直気が引けるけどさ。
郁の両親が亡くなる前から
郁は俺のこと」
「…好きだったんだ」
「まあ、…うん。
幼稚園のときから一緒で、
仕方ないって言えばそれまでなんだけど。
それで、広瀬はもともとこの町に住んでて
俺たちの兄さんみたいなもんだった。
だからよく、広瀬は郁の面倒見てたし。
それで、小6のときに
郁の家族が事故に遭った。
郁は生き残ったけど、なかなか目を覚まさなくて。
そしたら広瀬が郁に約束したんだよ、
ずっと守ってやるって」
今か今かと、私が傷つく言葉探しながら聞いていたけど
やっぱり、心の準備ができていても
傷付かない方法はないみたいだね。
「…そう、なんだ…」