不器用な君と不機嫌な私
「広瀬は、
もう郁のためになることしか考えてない
もう後戻りできないってわかってる
いくら自分を信じていないとわかってても、
郁のために
金だって貯めてる
いつか郁が大学を卒業したら
それを全部郁にやるんだって、そうも言ってる。
それでも」
先生の中に
私が入る隙は
ないんだね。
初めは妹として見ていても
今は、違うんだ。
「郁には自分しかいないって
信じてる」
そんなの、
私を置いて教室から
飛び出して行ったときに
わかってた。
泣いていいの?
でも、違うでしょ
仲本だって辛いのに
泣いて、いいの?