不器用な君と不機嫌な私

誰かお願い



「キョン」


文化祭が始まって、しばらくしてからも


かおりんを見ることはなかった。


最後に見たのは、キョンと一緒に歩いているところなのに。



キョンは一人で教室に戻ってきた。



「なに。」


「かおりんが見当たらないんだけど、どこにいるの。」



「知らないよ、俺が知りたいくらいだし。


だいたい、そのかおりんって呼ぶの、どうなんだろうね」



「いけない?

なんでそんなことキョンに言われなくちゃいけないの。」



「別に。

ただ、よくそんななにごともなかったような顔出来るよなって思うだけだよ」



「なにごともなかったような顔?


そっか、郁

そんな顔してるんだ?


だったら教えてよ、どうしたらもとに戻れるのか。


言っておくけど、壊したのは


郁じゃないから。」



そう、郁じゃない。



キョンが約束、破ったりしなければ


壊れることなんて。 




「……勝手にしろよ、



ただあんまり藤原さんを困らすようなこと」



「またかおりん?


あーもうやだ。


じゃあ、質問変えてあげる。


かおりんになにしたの?」



  ただ、挑発のつもり言っただけだった


それなのにキョンは


わかりやすいくらいに目を泳がせて


何も答えてくれなくて。



「なにそれ、意味わかんない。


もう、いい。


知らない、知らないから」



ひどいよ、キョン



どうして、



嘘でもいいから、


否定してよ。


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