不器用な君と不機嫌な私
「あのねぇ……自分で言う?」
「だって誰も俺のこと優しいとか言ってくれないしさ」
「なんか、そう言われたら可哀想に思えてきたかも」
「でしょ、別にいいんだけど」
少しだけふて腐れたように肩をすくめて、パチリとホッチキスを鳴らした。
でも、知ってるよ
わたし、仲本が優しいこと。
「仲本京介くんは、とっても優しいです」
「え、なに」
「言ってあげたの。感謝して」
「あー、なんかいらっとくるね。」
「そう?」
「じゃあ、どのあたりが優しいのか言ってよ。詳しくね」
「ちょっと待って、それは」
「俺、どんなことした?」
仲本はにやにやと笑っていた。
本当に、優しいとか言わなきゃよかった。
意地悪なところもいつも通りだ。
「抱きしめてくれた」