不器用な君と不機嫌な私
両肩にかかる仲本の重みが
どうしてか私の心を苦しくさせた
「やめて、離して」
そうは言ったものの、仲本の手が離れる様子はなくて
「あんた間違ってるよ」
「ねぇ、痛い、」
「自分だけが傷つけば終わると思ってるんだろうけど
それは違う。
俺もそう思ってたけどさ、
違うと思うんだよ
全員が全員と向き合わなきゃダメなんだよ
全員が同じくらい傷つけなきゃダメなんだよ
そうじゃなきゃ、誰も幸せになんかなれない」
「……なか、もと…」
「だからあんたも俺と同じくらい傷つけばいいって、少し思ってるんだよね、実は。
でも、その方法がこんなことくらいしか思いつかないんだよ
ほんと、俺ってバカだ
だからさぁ、俺はあんたと向き合いたいよ
こうでもしなきゃあんたは俺のこと見てくれないし
でも、あんたも広瀬とも郁とも向き合わなきゃダメだ
何事もなかったようになんて、無理だから
俺もちゃんと二人と向き合うから。
だからさ、逃げようとだけはすんなよな。」
「………」
「ごめん、言いたいのはそれだけ」
そう言うと、仲本は私からてを離した。
そして、また小さくごめんと呟いた。