不器用な君と不機嫌な私
「………」
「ま、知ってたか。
じゃ、あとは俺がやっとくよ」
「え、でも…」
「ほんと、いいから。
それともなに、このまま残る気?
あのさ、襲うよ?」
うそだってわかってる
でも
「……仲本…」
「本気にしないでよ、早く帰んないと暗くなるよ。
って、ここは俺が送るべき?」
そう言って笑う仲本が
泣きそうに見えて。
「ごめんね、
……帰る、ね」
「ん、じゃ。
またね」
ひらひらと手をふる姿は、四月のときと変わらない。
でも、それを見ている私の
仲本への気持ちは
とっくに
変わってしまっていたんだ。