不器用な君と不機嫌な私
さよなら、先生
次の日、郁は
また学校を休んだ。
昨日、郁にきついことを言ったことくらいわかってる。
でも、今日は
先生とちゃんと、話したい。
そして、確かめたい
「先生、あの」
「ん?」
「話したいことがあるんです」
終礼が終わったあと、すぐさま私は先生に駆け寄った。
「えーっとそれは」
「数学の質問ってことじゃだめですか?」
「…わかったよ。そうだな、予備室取っとくよ。」
「ありがとう、ございます」
「じゃ、一回職員室戻るわ!
ちと待っててくれな」
そういうと、先生は
出席簿を持って走り去った。
やっぱり、先生のはにかんだ笑顔は
わたしの心を暖める。
あの日先生が出席簿を忘れたせいで
わたしは先生を好きになったんだよね
でも
教卓の上には、なにも
残っていなかった。