不器用な君と不機嫌な私
「…ん?」
「先生、腕、見せて」
それだけは知りたい
あの郁の印は、きっと郁だけのものじゃない気がして
こんなこと確かめるなんて、
自分でもバカだとおもう
でも、その傷とも私は向き合わないといけない気がして。
先生は一度ため息をついたあと
悲しそうに小さく笑って
右腕のシャツをまくりあげた。
「知ってたんだな」
あぁ、やっぱり。
やっぱりただのケガなんかじゃなかったじゃんか、郁。
先生も同じ傷を持ってるよ
「………」
泣いたらいけない
わかってる
泣かないよ、
だから、
「お願いだから、
そんなこと、しないでよ…っ」