不器用な君と不機嫌な私



何もいえないまま
郁は席に座ってしまって



私はまた泣きそうになる



いつからこんなに泣き虫になってしまったんだろう


でもダメ、せっかく郁は挨拶してくれた


だから私も勇気を出さなきゃいけない。


そして立ち上がって大きく息を吸い込んだ。


「あのね、郁、私…!」


「言っちゃダメ!」


「え!?」


「まだダメなの、郁

まだ言いたいことまとまってないから、だから

もうちょっとだけ時間欲しい…っ


そしたらちゃんと、かおりんと話せるから、だから、待っててほしい…っ」


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