不器用な君と不機嫌な私
「かおりんのこと、
すっごく好きなのに、
だってかおりんは郁の大事な大事な友達で、
初めてできた友達で、
でも本当はかおりんがうらやましかった…っ
だってかおりんは
郁がどんなに望んでも手に入らないものを持ってるから、
どんなにキョンを好きでいても、郁のことなんか見てくれなくて
それなのに、かおりんはアキのこと好きとか言うし、
でもそしたらキョンは
どうなるの?って思ったの、
だってキョンは
あんなにかおりんが、好きなのに、
かおりんはすごく郁に優しくしてくれるのに、
郁はそれに応えられる自信がなくて…っ
だって優しくされたらされただけ、
かおりんが大事になるんだもん…!
でもその度、郁の心の中で
キョンの好きなひと
っていうのが頭から離れなくなるの、だけど
」
「郁………」
「かおりんのこと、大嫌いになんてなれなかった…!
郁の嫌なこと、
かおりんにだけは見られたくなかった……っ
かおりんにだけは嫌われたくなかったの……っ!
それなのに、郁がしてたことって、バカなことばっかりで、
全部全部かおりんのこと傷つけてたなんて、
……ごめんなさい、本当にごめんなさい、」
私は、あの日
郁が初めて話しかけてくれたあの日から
郁に救われたのだと思う。
表面上の付き合いしかできない私に、
大好きだと思える友達ができることを教えてくれた。
いつだって明るくて、笑ってる郁を見て、きっと私は憧れていたんだと思う。
だからこそ、郁の弱い部分知らなくて
見たくないとさえ思っていたのかもしれない。
でも、本当に郁のことが大好きなら
大切なら
今こうやって目の前で涙を流す
郁の弱い部分も全部
受け入れるべきなんだ
「郁、
泣かないで」