不器用な君と不機嫌な私
仲本を見ると困ったように眉を下げた。
「いや、泣いてたよ。
さすがに俺も泣くとは思ってなかったんだけど」
「あ…本当なんだ…」
「だーかーらー!そのくらい郁は
嬉しかったの!」
頬を膨らませる表情まで可愛いなんて、うらやましい。
あの子たちが妬いてしまうのも少し分かる気がした。
だって、可愛いもん。
と、思ったところではっとした。
そういえば、たか子たち…
「あ…」
郁たちのペースに乗せられて
すっかり忘れていたけれど、やっぱりあの子たちはこっちを見ていた。
睨んでいるのか、それともまた別の意味があるのか
「ほーら!いいのいいの!
あの子たちは人の悪口しか言えないような人種なんだから気にしなーい!ね?」
郁のその言葉で私ももう見るのはやめた。
でもあとでちゃんと謝ろう。
別に彼女たちも悪意があって私に話しかけてくれたわけじゃない。…はずだから。