不器用な君と不機嫌な私

授業も始まって、見慣れた先生ばかりだったからそこまで新鮮さはなかった。


でも、数2の授業だけは違った。

広瀬先生が担当だったのだ。


「まあしょっぱなの授業から勉強するわけにもいかねえよなー。
なにするよ?」


この少しだらけた感じが、みんな好きなんだろう。


男子たちが歓声をあげる。



「とりあえずあれだな、適当に雑談でもすっか」



そう言ってたわいない話を
笑いを混じえながらする先生の
姿を、私はずっと見てしまっていた。


ほんのり焼けた肌に、くせのある柔らかそうな髪


笑うと目がなくなることも、今日わかったこと。


照れると困ったような顔になることもわかった。



って…



なに見てるんだろ、私。



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