不器用な君と不機嫌な私
偶然か、必然か
あの日、次々の生徒が教室から出て行く中、たか子たちもその中にいた。
声をかけることは、できなくて。
私も同じように、
教室から出ようとしたけれど
思いとどまったんだ。
理由はないけれど、
ただ、家に帰ってもすることがないし
だから
偶然、教室に残ったのに。
ねえ先生、もし私があのとき
みんなと同じように
教室から出ていたら
きっとあなたに恋をすることはなかった、なんて。
そんなこと恥ずかしくて言えないけど
でもね、本当にそう思うんだ
私はあのとき、先生に恋をしたから。
悲しいことも、楽しいことも
全部終わった今だから
言えることなんだけどね。