不器用な君と不機嫌な私
「あ…」
「お!どうした?
っつーかさ、出席簿知らね?
なーんかどっかに置いちまったみたいでさー」
困ったように先生は頭を掻いた。
そんな姿を見ると私は思わず両手で出席簿を差し出していたのだ。
「あの、教卓の上に…ありましたよ」
すると先生は顔をぱっと明るくして、満面の笑みになった。
やっぱりこの人、笑うと目がなくなるんだ。
「おーっ!!まじか!!助かった!
えーっと…」
「あ、藤わ」
「いや、ちょっ待て!
ぜってー思い出す!言うなよっ!」
手のひらを私に向けて見せてから
思い切り悩み始めた先生。
そんな姿を、少し可愛いと思ってしまった。
表情が面白いくらいにころころ変わるんだもの。
なんていうか、見てて飽きない。