不器用な君と不機嫌な私

「あ…」


「お!どうした?

っつーかさ、出席簿知らね?
なーんかどっかに置いちまったみたいでさー」


困ったように先生は頭を掻いた。

そんな姿を見ると私は思わず両手で出席簿を差し出していたのだ。


「あの、教卓の上に…ありましたよ」


すると先生は顔をぱっと明るくして、満面の笑みになった。


やっぱりこの人、笑うと目がなくなるんだ。



「おーっ!!まじか!!助かった!

えーっと…」



「あ、藤わ」


「いや、ちょっ待て!
ぜってー思い出す!言うなよっ!」


手のひらを私に向けて見せてから
思い切り悩み始めた先生。

そんな姿を、少し可愛いと思ってしまった。


表情が面白いくらいにころころ変わるんだもの。


なんていうか、見てて飽きない。



< 39 / 303 >

この作品をシェア

pagetop