不器用な君と不機嫌な私

その日の放課後、広瀬先生に呼び止められた。

そして物凄く申し訳なさそうな顔で


「頼みたいことあんだけど…」

と言うものだから

聞かないわけにもいかなくて。


「なんですか?」


「さっきの体育祭の種目、実はあれ女子と男子で整理して
提出しなきゃなんねえらしくてさ。
体育委員は帰っちまうし

俺も今から職員会議なんだよ


だからそれ、藤原に頼めねえかなって…」


「あ、いいですよ?」


「え、まじ!?」


「だって、提出しなきゃいけないんですよね?」


「いやそうなんだけどさ、ほんっとにありがとな」


即答してしまった自分にも
驚いたけれど

落ち着いた声で、ありがとなんて言われるとは思ってみなかった


「いえ…あのじゃあ、どうすればいいですか?」

< 63 / 303 >

この作品をシェア

pagetop