不器用な君と不機嫌な私
それにしても、このクラスの人たちはみんな帰るのが早い。
やっぱりみんな予備校とか行ってるのかな。
去年はいつまでも教室に居残る生徒のほうが多かったのに。
それにしても、なんだか身体が熱い。
まだそんなに気温は高くないはずなんだけど
「ねえ」
席につくと、後ろから声をかけられた。
ちょっと特徴のある話し方をする仲本の声だった。
「え、なに」
「なにやってんの?」
「ちょっと頼まれごと。
あ、別に学級委員の仕事とかじゃないし
仲本が気にすることじゃないっていうか。」
「そう言われると気にするから。
で、なにやんの」
全員分の種目が書かれた資料をパラパラとめくる。
そんな仲本を斜め下から見上げると
思わず息を飲んだ。