不器用な君と不機嫌な私
仲本の顔は
肌が白くて鼻が高い。
切れ長の目で、唇は薄い。
黒い髪は、さらさらしてる。
きっと顔だけ見たら、好きになっちゃう子とかいるんだろうな。
あまりの顔の整いように
つい見入ってしまった。
「あのさ、聞いてる?」
「え?あ、ごめん。なんだっけ」
「いいよ、大体わかる。
これに整理して書けばいいんでしょ」
「…え。手伝ってくれるってこと?」
「だったら」
「…そりゃ…助かるけど」
「あっそ。半分だけね」
そうやって冷たく言うから
やっぱやらなくていい
と言おうと思ったのに。
半分だけと言ったくせに
仲本は明らかに半分以上の
資料を手にとった。
どうしていちいち突っかかるようなことを言うんだろう
と不思議に思ったけれど
少し嬉しくなって
無意識にありがとうと呟やいていた。