不器用な君と不機嫌な私
2人とも会話がないまま、
しばらくすると
廊下のほうから、女の子たちの
騒ぐ声が聞こえてきた。
「大丈夫だって、頑張れっ!」
この一言でなんとなく話の内容がつかめたのは
私が女子だからだろうか
すると教室の後ろのドアから
背の小さい可愛げのある女の子が現れた。
っていうか、これ告白だよね。
その張本人が全然気づいてませんよ、お嬢さん。
それに、隣同士で座ってるのって
ちょっとまずかったかな
「あー…ちょっと
手洗ってくる」
「は?」
「え、いや」
「気にしないでいい。
それに言い訳下手すぎ」
「あのねえ…!」
気づいてたんなら
反応してあげなさいよ…!!
「仲本くんっ…」
きっと彼女は今の名前を呼ぶことさえも必死なんだろうと思った。
うつむきながらスカートの裾をぎゅっとつかんでいる姿は
なんだか微笑ましかった。