不器用な君と不機嫌な私

そう言うと先生は目を丸くした。

なにも驚くようなこと言ってないのに


「あー…そっか

そうだよな。
それが普通だよな」


「なにがですか?」


「いや、うん

今何時?」


「え?
えっと、六時半ですけど」


「じゃあ俺も帰るか。

ちょっと待っててくれるか?

すぐ荷物取ってくるわ!」



そう言うと職員室に走って戻っていった。



なんだか、話に脈絡がないというか。


こういうの、もしかして


頭悪いっていうの?


なんて失礼なことを考えていた。


でもなんだかそんな姿さえも

可愛いと思っている自分がいて



揺れる白いシャツの後ろ姿。


あんまり背は高くないのに


肩幅のある身体。


全部目に焼き付けたいと

そう思った。

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