不器用な君と不機嫌な私
…終わった。
さよなら私の高校生活。
教室に入ると、見慣れた顔なんてひとつもなかった。
何度もクラス発表の紙を見たけれど、顔と名前の一致するひとなんて数人程度。
しかも肝心の女子に関しては
下の上っていうかなり微妙な顔ぶれ。
もし「上の中」クラスの子がいたら、あわよくば仲良くなっちゃおうなんて考えたあたしがバカだった。
仲良くなれそうな人がここまでいないなんて、
思ってもみなかった。
もうここは空気になってやる
そう決意して、静かに自分の席につく。
大丈夫、まだ大学が残ってるし
そうだよね、大学でいい友達を作ればいいんだよね
彼氏だって
別に高校で作る必要なんてないし
大丈夫、大丈夫
そう何度も心の中で繰り返した。
大丈夫、二年くらい我慢できる。
そうでもしなきゃ、やってられない。
そのときだった
クラスの前のドアが勢いよく開けられて、
「セーッフ!!!」
と、ひとりの生徒がチャイムと同時に教室の中に飛び込んできたのだった。