不器用な君と不機嫌な私


パン食いが始まったのか


大音量で曲が流れ始める。


去年は秋穂たちを応援しようなんて思ったっけ


だいたい私今、体育祭が楽しいと思ってる。


リレーの時も、徒競走のときも


郁が応援してくれる声が一番よく聞こえて


頑張ろうと、本気で思った。


次は郁が走る番。


だから今度は私が応援する番。



ピストルが鳴ると同時に私も息を吸って



「郁、がんばれーっ!!」



気がつくとそう叫んでいた。


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