小さな短い恋物語


「この女性たちは
ほぼ可能性が無い事を分かっているのに、それでも、文を出していると思うんです。

ほんの少しの可能性を信じて。」

「それが俺に何の関係がある?」

正直分からなかった。
だから土方は翔花に聞いた。

すると翔花はこれまでに
あまり見たことのないような怒った顔をして土方を見ていた。

「……
その文を書いている女性たちは!!
少しの小さな小さな可能性を信じて、毎回、文を書いているんです!!
それを、そんな風に…!!

今までは、土方さんの言うとうりに全て捨ててきました。
けれど、それってあんまりじゃないですか!!」

声を荒らげながら言葉を繋ぐ翔花は本当に珍しかった。

「そんな事言ったって、俺も仕事があるし、毎回毎回そんな量の文に返事なんざかいてられねぇんだよ…」

「だったら、せめて捨てるのではなく、保管するとか、保管する場所が無いのなら、実家に送るとかすればいいのではないのですか?」

先ほどのように声を荒らげる事は無かったが、少し震えていた。

「……
そうか、そういう手があったか。
なら、次からはそうする。」

「…ありがとう…ございます…」
そう言って翔花は嬉しそうに笑った。
< 14 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop