小さな短い恋物語
「この女性たちは
ほぼ可能性が無い事を分かっているのに、それでも、文を出していると思うんです。
ほんの少しの可能性を信じて。」
「それが俺に何の関係がある?」
正直分からなかった。
だから土方は翔花に聞いた。
すると翔花はこれまでに
あまり見たことのないような怒った顔をして土方を見ていた。
「……
その文を書いている女性たちは!!
少しの小さな小さな可能性を信じて、毎回、文を書いているんです!!
それを、そんな風に…!!
今までは、土方さんの言うとうりに全て捨ててきました。
けれど、それってあんまりじゃないですか!!」
声を荒らげながら言葉を繋ぐ翔花は本当に珍しかった。
「そんな事言ったって、俺も仕事があるし、毎回毎回そんな量の文に返事なんざかいてられねぇんだよ…」
「だったら、せめて捨てるのではなく、保管するとか、保管する場所が無いのなら、実家に送るとかすればいいのではないのですか?」
先ほどのように声を荒らげる事は無かったが、少し震えていた。
「……
そうか、そういう手があったか。
なら、次からはそうする。」
「…ありがとう…ございます…」
そう言って翔花は嬉しそうに笑った。