broken、robot。
今、私と留亜は電車に揺られてる。
最初、留亜は電車を知らなかったらしい。

改めて実感した。
留亜がロボットだということ。

関係ないような気がしていた。
ロボットを好きになって、結婚まで行くとする。
その場合はどうなるんだろう。

『へぇ、浅草って本当に存在してたんだ…』

隣から軽くへこむ発言。

「浅草、ないの?」

『うん。在った、ていうのは知ってるけど。』

「へぇ。あ、妊婦さん。」

そう言って隣を見ると、空席だった。
あれ?

『よかったらどうぞ。』

「わあ、すみません。ありがとうございます。」

私の隣に妊婦さんがきた。

私が微笑むと、妊婦さんが耳元で小さく声を出して、「いい彼氏さんですね。」

と、言った。


とりあえず、今日は彼氏なので「はい!」
と返事をしておいた。

…けど、一瞬だけ佑夜といる気がした。

佑夜と電車に乗ってる時もこんなことがあった。

留亜が私の前の吊革につかまる。

「優しいね。」

私がそう言うと、照れた顔をして『そんなことない。』

って一言。

佑夜といる感覚に陥る。


今日は、留亜しか想わない。

ーーー次は浅草~浅草~。


「つぎ、降りるから。」

『分かった。』


もうすぐ、佑夜ん家。
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