仮面
仮面は、私が生りたい表情を
完璧に作ってくれた。
先生のジョークに笑う時、
誰かに怒られる時、
仮面は、
ふさわしい表情を作ってくれた。
でもその分、私は歪な形になっていく。
一日一日ゆっくりと。
でも確実に。
悲しくはない。
なぜなら、
仮面は私の願いをかなえてくれている。
一人になった私にある変化が生まれた。
怒りやすくなった。
もちろん顔に、その表情は出ない。
態度に出る。
「葉桜、なんでそんなに怒ってんの?
悩みあるなら相談しろよ?」
時雨がそう言う。
「メールでも聞いてきたよね?
ないっていってんじゃん。」
時雨には関係ない。
そんな優しさも
私にはどうでもよかった。