スキ、スキ?
「どこのクラス?」
「・・ここ」
綾くんがそう言った瞬間、クラスメート達がキョロキョロ周りを見始めた。
そりゃあそうだ。
この中に綾くん、小川綾の彼女がいるんだから。
そして、そんな綾くんの彼女は見た目は平凡、中身は平凡以下のあたし。
あたしは涙を見られないように軽く俯く。
「名前は?」
藍のその質問に空気に緊張が走った。
数分・・いや、数秒だったかもしれないよく分からない沈黙であたしは顔をあげると、
まだ綾くんはあたしを見ていた。
綾くん、綾くん綾くん綾くん。
好きだって大好きなんだって言いたい、叫びたい。
綾くんが口を開く。
無意識のうちにギュッとスカートを握りしめ、綾くんの言葉を待つ。
「・・晴、元皆晴」
りょう、くん。