【完】チーズ男とあたりめ女
メニューもないし、私は悠さんを見た。



「チーズの盛り合わせと、彼女…海さんにフルーツでも出してやって」



「わかりました」



女性は後ろを通ったボーイさんに、飲み物や悠さんが注文した品を伝えた。

どうやら悠さんは、ウイスキーのボトルキープがあるらしい。



「海さんでしたか?」



「はい…」



「悠とアフターは高いでしょ?」



…“アフター”?

私が誘ったんじゃないんですけど…;;

首を傾げる私の代わりに、「海さんは妹の友達だ」と、悠さんが告げた。



「そうだったの。私、麗ーウララーと申します。元々、悠のお客だったのよ?」



赤い口紅を引いた唇が、自慢気に高く上がる。
< 12 / 504 >

この作品をシェア

pagetop