【完】チーズ男とあたりめ女
胸に残る罪悪感は、私の強がり。

大人になれない私自身への怒り。



「兄貴がそれを聞いたら怒るぞ」



けど、私の気持ちを察したのか、翔さんが怒り口調で話した。



「兄貴が自分で決めた事を、“私のせい”なんて。俺が兄貴の立場だったら聞きたくねぇよ」



私はグラスをテーブルに置き、「はい」と頷ずいて、あたりめを翔さんに差し出した。



「一緒にイカ臭くなりましょ?」



「嫌だー!!」



私が雰囲気を暗くしたからには、自分で明るくする。

あたりめを食べようとしない翔さんの口をこじ開け、無理矢理、押し込んで、正面にあった1人掛けの丸いソファーと同じ生地の椅子に座った。
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