【完】チーズ男とあたりめ女
【7】 さよなら愛し君
・選択肢は全て別れ
昼過ぎ、私は寝てる悠を起こさずに帰る事に。
「海、大丈夫?」
玄関を出ようとした私に、蘭が心配そうに訊いて来た。
顔に何か、出てたのだろうか。
涙の痕が、残ってたのだろうか。
「大丈夫だよ?」
笑って、ドアを閉めた。
…ごめん、蘭。
親友なのに。
何も言えなかった私を、許して欲しい。
「やっぱり、泊まってた?」
角を曲がった私の前に、昨日、会った男性が現れた。
待ち伏せされてたらしい。
「何ですか?」
夢だと思いたかった現実。
「俺、日暮樹理ーヒグラシジュリー。
澤井繭ーマユーの元カレな」
私は“繭”さんという人がわからず、首を傾げた。