【完】チーズ男とあたりめ女
悠から離れ、私は歩き出した。

振り返らない。

悠の温もり、忘れない。

…バイバイ…。

ハンカチで口を押さえ、嗚咽を抑える。

今すぐにでも、振り返りたい。

ギュッてしたい。



「別れたんだ」



また現れた日暮さん。

私は涙を拭き、しゃーしゃーと言い放った日暮さんを睨んだ。



「恨むなら澤井を恨め。俺の大切な繭を奪ったんだ。正当防衛と同じだ」



別れたら、もう日暮さんとは会わない?

悠に、会える?

親友の、お兄さんとしてでも。



「さ、行こうか」



「どこに…」



「さぁね」



復讐は続くみたいだ。




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