【完】チーズ男とあたりめ女
連れて来られたのは、ラブホテルの前。
街中にポツンと一つだけあり、外観はビジネスホテルを思わせるほど、シンプル。
「約束…違いませんか…?」
「違うだろうな。今、変えたから。君にはどっちみち、俺の子供を産ませる」
「――ッ!!」
私は身の危険を激しく感じて、走り出した。
「待てコラッ!!」
きっと、体育の授業よりも速く走ってる。
長距離は苦手だったのに。
火事場の馬鹿力って、こんなにも、力を出させるんだと知った。
「逃げてどうするんだ!」
…わからない。
わかる筈がない。