【完】チーズ男とあたりめ女



連れて来られたのは、ラブホテルの前。

街中にポツンと一つだけあり、外観はビジネスホテルを思わせるほど、シンプル。



「約束…違いませんか…?」



「違うだろうな。今、変えたから。君にはどっちみち、俺の子供を産ませる」



「――ッ!!」



私は身の危険を激しく感じて、走り出した。



「待てコラッ!!」



きっと、体育の授業よりも速く走ってる。

長距離は苦手だったのに。

火事場の馬鹿力って、こんなにも、力を出させるんだと知った。



「逃げてどうするんだ!」



…わからない。

わかる筈がない。
< 205 / 504 >

この作品をシェア

pagetop