【完】チーズ男とあたりめ女
「それは違うんじゃないかな」



そんな私に、竜太郎さんが低い声で言った。



「悠さんと自分を守る為にした事は、強さじゃない?朋菜なら、俺を殺陣にしたと思う」



「確かに、そうかも知れない。
私は海ちゃんの考えをしたとしても、結局は自分を一番に守ったと思うよ。竜太郎は、竜太郎で。私は私で身を守れるって、判断しちゃうから」



「私が…子供だったんでしょうか…」



「大人だったんだよ。子供は親に守られる。大人になりかけの人間は、“自分は自分で守れる”って意気がる。
海ちゃんは、自分と悠さんを守ろうとした。それは、大人な証拠だよ?」



朋菜さんに手を握られ、嗚咽を出しながら泣いた。
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