【完】チーズ男とあたりめ女
会話が見当たらず、あたりめをパクッと噛むと、智晴さんと目が合った。



「泣かないのか?」



「はい?」



「さっきはいきなり泣いただろ?
また泣かないんかなーってな」



「智晴さんとふざけてたら、元カレの事、忘れてました…」



思い出した瞬間。

会いたくて。

謝りたくて。

胸が一瞬にして、痛いけど。



「このまま忘れるか?」



「はぇ!?」



「俺も海となら、忘れられると思う」



―――互いに後悔が残った恋愛をした私たちは。

傷を慰め合う為に出会わされた気がした。
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