【完】チーズ男とあたりめ女
「あーもっ!俺、海が泣くと余裕なくなるんだよ」



悠は私の顔を上に向かせると、困ったように笑った顔を見せた。

こんな表情、初めて見た。

悠がまた、新たな一面を見せてくれた。



「私…智が居たら、悠なしでも大丈夫だと思ってた…」



「ん」



「けど…悠の顔を見たらダメ…」



もっともっと、色々な表情を見せて欲しい。

余裕な顔。

余裕をなくした顔だって。

私だけの、特権だと思うから。



「良かったな、海!」



「…智…。初めて名前、呼んでくれたね…!」



「「「妹、可愛いー!!」」」



智に泣きながら笑った私に、翔さんたちが声を揃えて叫んだ。
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