【完】チーズ男とあたりめ女
砂浜を歩きたがる父親を支え、車椅子から立たせると、細った足でも真っ直ぐ歩いて行く。

3人に見守られながら、2人で歩いてる途中、父親が何かを言った。



「何か言った?」



「…ありがとな、海」



「何を改まって…」



背中を見て、涙が溢れそうになった。

空を見上げると、分厚い雲が流れてる。

…お母さん…。

まだ、お父さんを連れて行かないでね…。

もう少し、2人だけの時間を下さい…。

―――あまりにも寒く、20分も経たないうちに、お祖父ちゃんが勧める 料理屋に向かった。

水炊きを頼むと、オリジナルのポン酢が出される。
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