【完】チーズ男とあたりめ女
朝、いつもより早く目覚めた私の隣で、父親が静かに旅立った。
昨日と寝顔は変わらないのに、冷たい。
真っ直ぐ仰向けのまま、動かないんだ。
ーープルルル…ッ
悠は昨日、仕事だったから、朝は出ないだろうと、蘭に電話を繋けると、ワンコールで出た。
眠そうな声で『もしもし…?』と言ってる蘭に、私は何て言えば良いのか、わからない。
「…蘭…」
『海ぃ…?どうしたの?まだ7時ま…』
「お父さん…お母さんの所…行っちゃった…」
言葉にすると、父親の死を現実に感じた。
もう起きない。
もう喧嘩したり、ふざけ合ったり出来ないんだと。