【完】チーズ男とあたりめ女



私の泣き止むのを待ってたかのように、お祖母ちゃんが入って来た。



「え…?」



渡されたのは、お祖母ちゃんが大事にしてた、手拭いだった。

何故、渡されたのかわからず、ポカーンとした顔で見上げると、いつもの優しいお祖母ちゃんの表情とは思えなかった。



「そんなに泣くなら。辛いなら、もうここに居なさい。悠さんの元に帰らない方が良い。ご迷惑よ」



「お祖母ちゃん…」



「帰るって事は、海ちゃんは悠さんと手を取り合って、2人で何事も頑張らなきゃいけない。
今の海ちゃんに出来るの?」



手拭いに込められた意味はきっと、“寂しくて泣いてばかりなら、酒蔵を継げ”。
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