【完】チーズ男とあたりめ女
私は悠さんから、1人分の間隔を空けて座り直した。



「悠様。蘭様に指示されました、“さくらとあたりめ”のご用意をさせて頂きましたが…」



「あぁ、これか。ありがとう」



どうやらあたりめの匂いの正体は、私ではなく本物の匂いだったらしい。

私たちの前に置かれたワゴンの上に、人数分のグラスと氷にさくら。

加えてあたりめもあり、私はヨダレが出そうに。

グラスに氷を入れ、さくらを注いで悠さんに渡す前に香りを確かめた。



「氷が清純で、風味が崩れてない。呑まれますか?」



「酒のソムリエになれそうだな」



グラスを受け取った悠さんは、香りも味わってから、口を付けた。
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