【完】チーズ男とあたりめ女
「一杯、お礼にご馳走するから座ってよ」



でも、翔さんに呼び止められた。

断ろうとしたけど、もう注文しちゃってるし、煙草も吸い出してしまった。

断れなくなり、私は椅子に座り直した。



「蘭がさ、守と付き合い出したらしいよ。両家共に喜んでて、高校を卒業したら、すぐ婚約するみたい」



「そうなんですね。お金持ちはお金持ちが良いんですよね」



「んー…次男の俺は、財閥の運命とか背負ってないから、貧乏人でも良いかな」



「長男は?」



「会社の事も考えて、結婚するべきだね」



テーブルの下で、拳を握った。

爪が食い込む位に強く。
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