【完】チーズ男とあたりめ女
悠に謝ろうと、携帯を開けば“11:30”と表示されてる。



「ヤバーいっ!!;;」



私は慌てて、山道を下った。

圏外だし、本当にどうしようもない私。

雪が溶けてて安心し、麓に着いた瞬間、悠に電話を繋けながら、更に走る速度を上げる。

ーーピリリリリリ…ッ

…あれ?

私は家の前で立ち止まり、坂の上にある玄関を見上げた。

そこには、ブランド物の紙袋を持つ悠。

会いたかった悠が、コートもマフラーもなく、スーツ姿で立って居る。



「何で…?」



「…海…」



会いたかったけど。

今日、会えるなんて。

今、会えるなんて…。
< 408 / 504 >

この作品をシェア

pagetop