【完】チーズ男とあたりめ女
ーードサッ
ブロック壁に押し付けられた。
ニヤリと笑われ、下を向けば顎を持ち上げられた。
「よーく見ておくが良い。彼氏が殴られる姿をな」
“彼氏じゃない”―…。
否定しなきゃいけないのに、恐怖で完全に声が出なくなってしまった。
口を開いて、何かを言う度に、空気だけが抜ける。
“ナツホさんも申し訳ありません”―…
お客さんに頭を下げた悠さんを思い出すと、涙が溢れた。
悠さんは私1人で動かない。
お客さんが優先。
…私、死ぬかも知れないね…。
そう思うと、両親の顔が甦り、涙が増して行った。
ブロック壁に押し付けられた。
ニヤリと笑われ、下を向けば顎を持ち上げられた。
「よーく見ておくが良い。彼氏が殴られる姿をな」
“彼氏じゃない”―…。
否定しなきゃいけないのに、恐怖で完全に声が出なくなってしまった。
口を開いて、何かを言う度に、空気だけが抜ける。
“ナツホさんも申し訳ありません”―…
お客さんに頭を下げた悠さんを思い出すと、涙が溢れた。
悠さんは私1人で動かない。
お客さんが優先。
…私、死ぬかも知れないね…。
そう思うと、両親の顔が甦り、涙が増して行った。