【完】チーズ男とあたりめ女



車で地元までは3時間ほどで着いた。

新幹線だと、1時間位だけど。



「海…」



車のエンジン音が聴こえたのか、父親が表まで出て来た。

寂しさに包まれた父親の背中を見ながら家に入ると、「気を付けて帰りなさいよ?」と、いつものように見送ってくれた母親が、和室で眠っていた。

父親に、【EDEN】で受け取ったお金を渡してリビングのソファーに座った。



「何で急に死んじゃったの…?」



「急性の心筋梗塞。みんなが気付いた時には、酒蔵で冷たかった」



まだ40歳という若さの母親が、“死んだ”と言われてもわからない。
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