【完】チーズ男とあたりめ女

「澤井財閥は、母親の経営する倉原ｰｸﾗﾊｼｰ財閥より下ですから、海ちゃんのお父さんが知らなくても当たり前だよ」



「３人のお母さんも…えぇ？;;」



蘭と知り合って３年目、初めて知った。



「これから俺が澤井を、弟の翔が倉原を継ぎますけど、忙しさを言い訳にして、海さんを悲しませたりしません。２人でここを守りたいと思います。
ですから、和倉さんとの婚約は破棄にして貰えますか？」



「悠さん…」



胸が震えた。

感動したんだ。



「俺は構わないよ。海が幸せで、ついでにここが守られたら」



なのに。

なのに隣では、軽い口調の父親が、ケロッと賛成した。

…さっきまで反対してたくせに。