【完】チーズ男とあたりめ女
…キスだ――ッ!;;

キツく目を閉じる。



「――へっ?;;」



しかし、口元に息を吹き掛けられただけ。



「その日に襲うほど、俺は飢えてねぇよ」



そう言って、鼻で笑い飛ばした悠さんだけど、私は唇を噛んだ。

“その日に襲うほど、俺は飢えてねぇよ”―…。

悠さんは私を彼女にしてくれたとは言え、求めるのはお店のお客さん。

綺麗な大人の女性じゃないかって。

私は飾り。

言葉の繋がりじゃないかって。

心にはスーッと、冷たいすきま風が吹いた。

絡み合う手も、指先から冷えて行く。
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