【完】チーズ男とあたりめ女
「帰ります。また、連絡します」



翔さんの腕を振りほどき、悠さんを見る事なく遊園地を出た。

夜は入場料が半額で良かった。

乗り物も乗らないで、1時も居ないなんて損してるし。



「ははっ……」



…笑える。

心配する事が、お金しかないなんて。

ピチャピチャと音が聴こえたと思えば、どしゃ降りの雨。

駐車場から出ようとする車で跳ねた雨水が掛かる。



「ムカつくな」



「――ッ!!」



足元を見てた私に差し出された傘。

イライラした様子の悠さん。



「俺の気持ち、知らないだろ」



「え―――……」



目を見開いたままの私。

目の前には、整った悠さんの顔。
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