幕末陰陽師
「キツネ。」
主様の声が私の思考を止めた。
「…いいでしょう。掟を破った罰に、お前は今夜の仕事を確実に遂行しなさい。
…あと、私を甘く見るな、キツネ。私が自分の命を守る術を持っていないと思っているのか?
私は多少の間ひとりでも問題ない。」
「分かりました、主様。
……申し訳ありません。」
主様は何も言い返さなかった。
主様は言う必要の無いことは言わぬ。
人の感情を持たぬ私には、主様の人の言葉など、必要ないのだろう。
私は黙って主様の後ろについた。