幕末陰陽師
そんな暗い道を、主様はまるで明るい昼間と違わぬように堂々と歩く。灯りは持っていない。




私は式神だから、昼も夜もさして見え方に差異は無い。
だが主様は人間だ。私は人間のことはよく分からないが、夜道は歩きにくくはないのだろうか。




「キツネ、あそこ。」




主様はふと立ち止まって、前方の民家の屋根上を仰ぎ見た。




そこに居たのは、異形。
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