幕末陰陽師
───虚をつかれた、とはこのことなのだろうか。






そこに立っていたのは異形ではなかったからだ。






浅葱色の羽織を着た男が何かもの言いたげな様子でこちらを見ていた。






人のように見えるその男はひどくぼろぼろな格好をしていた。






私はその男を見て直ぐに感じた。






彼は生きていない。
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